アルトは女声合唱では支えの要

混声合唱でのアルトは、さほど音程は低いほうではないかと思います。しかし、女声合唱になりますと、かなり低い音も出てきます。そんなアルトは、(特に女声合唱では)支え、縁の下の力持ちという認識を持たれます。ソプラノよりは声が聞こえにくいパートかもしれませんが、重厚な音で支えられれば良いですね。

日本人にアルトはいない!?

海外では、朗々としたアルトの声である人もいます。しかし、日本で考えてみると、実のところ正にアルトだという人は希少価値なのです。本当は低い声の出る女性は少ないのだとか。しかし、無理して低い声を出していることもあるのです。声を潰したりしないように気をつけたいものです。日本ではアルトのパートを歌っている人でも、海外ではメゾ・ソプラノに分類されるということもあります。

ちなみにですが、ヨーロッパに行くと女声合唱というものはあまり存在せず、日本においてのみ、女声3部合唱(ソプラノ・メゾソプラノ・アルトに分かれる)というのが盛んに行われています。

発声法などに関して

そもそも、パートによって発声法が異なるということはありません。私自身がアルトなのですが、低いパートであるアルトであっても、明るめの声が求められることも少なくないですし、実体験として、練習中に「恐い」とか「暗い」と指導者に言われることもありました。かなり低い音がありますから、それを明るく歌うのは難しいと感じます。

揃える

低音を綺麗に歌おうと考えることもないと思います。投げやりなのではなく、パートの中で声を揃え、音程を正確にして、リズムも揃えることによって、自然と良いアルトになっていくのです。小さなズレでもそのパートは不完全ということになってしまいますから、まずはアルト・パートで揃えて行くことが大事ですね。

無理はせずに

人数不足のために、アルトを手伝う人もいるかと思います。けれど、無理は禁物です。出にくい音(低音)をなんとか出そうとして、喉を壊してしまったら大変です。その様なことがないように、気を付けたいものです。

ヴォーチェ・ディ・フィンテ

アルトの低音は、『ヴォーチェ・ディ・フィンテ』の変化形として形成されて、パワーが出るのです。『ヴォーチェ・ディ・フィンテ』とは、伸びて行く過程の中に縮む部分を作って発声することなのです。声帯の周りの筋肉を伸ばし、声門の震える部分が縮まる力を高めます。前後や左右を引っ張り、隙間をなるべく閉じるようにするのです。その時に閉じる強度を、伸ばすことによって強くしようということです。

練習法としては、中音域から中央のドまで下がっていきます。下に行けば行くほど声が細くなっては来ませんか?出なくなる下の限界の音まで下がったとして、声が掠れて出にくい場所があると思います(下のラ~ミ辺りでしょうか)。その下の部分は、胸の声になってしまっているということですね。その音域辺りで、声帯を伸ばします。そして、同時に声帯を上方向に釣り上がるようにします。

かなり強めに釣りあげるのです。この時に、声がひっくりかえらずに大きく鳴れば、良いですね。

アルトといっても、声は暗くせず、あまり無理もしないということが重要なのです。